首筋を強く吸われ…

時には軽く噛まれ…

そして優しく舐められる…

その行動からスザクがキスマークを付けようとしているのが分かる。

しかも濃くだ。

制服の襟から見えるか見えないか際どいラインに付け、他人に見えた際には、スザクが俺を侵略したのを見せ付ける為だろう。

誰にされた、誰に見せ付けると言う特定の人物に宛てては居ないらしい。

所謂虫除けだ。

ロロよりスザクのが独占欲は強い。

ロロは見える場所にキスマークを残さないな。

そして2日もすれば消えてしまう。

2日も経たずとも新しいキスマークは増えるがな…

スザクに付けられたキスマークを見てロロは頭に血が昇るだろう。

頭が良いロロの事だ。

キスマークを付けたのがスザクだと何処かからか悟り、嫉妬に狂って荒々しく抱くだろうな。

それもまた楽しみだ。

「あっ…スザク…痛っ…」

口ではしっかり喘いでおかなければいけない。

声も相手を煽るらしいから。

まぁ本当に気持ちも良いから自然と声も出てしまう。

「痛いじゃなくて気持ち良いんでしょ?君はちょっとマゾっ気あるし。普段は女王様なのにね」

キスマークを付けるのを一旦中断したスザクが、囁くようにそう耳元で話す。

吐息が耳に当たり、背筋が快感でゾクゾクした。

駄目だ…

スザクより優位で居たいのに、快感に支配されて、スザクの言いなりになってしまいそうだ。

顔を捩り、囁かれていた耳を下にする様にする。

すると今度は現れた耳が舐められた。

耳の淵をスザクの舌が撫でながら移動する。

「やっ…やめ…あぁんっ…!」

目を固く瞑り快楽に耐えようとするがそれは難しく、耳朶を甘噛みされた瞬間、大きな声を上げてしまった。

「そんな大きな声出して…気持ち良かった?」

お前は囁くなっ!

スザクの甘い吐息混じりの声は麻薬の様に気持ちよくする効果があるらしい。

囁かれると俺は違う世界に飛んでしまいそうだ。

「君はこっちを触られるのも好きだよね…」

そう言いながらスザクの手は上着の裾から侵入し、胸で止まる。

親指の腹や人差し指の先でピンポイントに攻められると弱い。

「あぁ…あっ…」

下も…

下もほし…い…

摘まんだり捏ねられたりするのが、違う場所をそうされている時の感覚を呼び覚まさせてしまう…

触られたい。

「何物欲しそうな顔してるの?君は人より淫乱なんだから、調教してあげないと誰とでもしちゃうんじゃない?

だから僕が君を調教してあげる。僕以外としたらどうなるか身体に教えてあげるよ」

何を言っているんだ…?

バレたのか?

俺は上手くやっていたハズだ。

スザクの手が上半身を愛撫してくる。

そうしながらも、胸や腹、腕の内側、いたる所にキスマークも作られていた。

「辞めろ、スザク…着替えの時に困る…」

体育の授業だってあるんだ、辞めてくれ。

しかしスザクは聞き耳を持たず、行為を続けている。

「んっ…そこは…もう良い…」

あんまりずっと上半身ばかりを攻められると、正直辛い。

「知ってるよ。そんなに腰をもじもじさせて主張させても、してあげないからね」

もう弾けそうになる下半身に、俺は自ら手を伸ばしてしまう。

手は下着の下に滑り込み、中の俺のを捕らえた。

「はぁ…あっ…」

スザクはそんな俺を見ても、止めさせる訳でもなく、むしろあっさりと俺の上から退いてしまう。

「どうかしたか?」

顔だけをスザクの方に向けて訊ねると、スザクは笑顔で言い切った。

「そんなに自分でしたいなら、僕に見せてよ、ルルーシュが自分でしてるところ。

勿論、ちゃんと服や下着は脱いでね」

下着に手を入れたまま微動だに出来ず、どうしようか困ってしまう。

スザクに散々高められた熱は、刺激を求めてしまっていた。

もう解放したくて堪らない…

覚悟を決めるしか、ない…

俺はベッドから起き上がり、下着に手を掛けると恥ずかしいが仕方無いので脱ぎ始める。

足から衣服を取り去ると、恥ずかしさは倍増した。

「しっかり反応してるね、ルルーシュのそこ。じゃあベッドに座って?ちゃんと脚もベッドに乗せるんだよ」

スザクに言われるがままに俺はベッドに体育座りの様に脚を折り畳み、足まで乗せて座ってみた。

だが、スザクの希望はそうでは無いらしい。

「何色気の無い座り方してるの?ちゃんと脚開いて」

そう言いながらスザクは強く俺の両膝を掴み、左右に開いてしまう。

「ほら、それでやってみなよ。見ててあげるから。

それとも、もう一人ギャラリーが増えた方が興奮する?」

もう一人…?

床に座り、マジマジと俺のを見ているスザクの視線が、入り口の扉の方へと向けられた。

今まで気が付かなかったが、扉が少し開いている。

スザクの一言で、その扉が微かに揺れた。

まさか…

否、今日はロロしか居ない…

「もうバレてるんだから出てきて良いよ。一緒にはさせてあげないけど、見学ならさせてやらないことも無いから。

それとも、このまま自室に戻ってルルーシュの痴態を妄想しながら一人でする?」

スザクがそう扉に向かって語り掛けると、扉が開かれ、ロロが入って来る。

「あの…その…覗くつもりは無かったんだけど…でも物音がしたから来てみただけで…」

何食わぬ顔で人をばさばさと殺す奴から出たとは思えない程の動揺を含んだロロの声と様子に、

少し可哀想だったかと思うが、情事を突然邪魔されたスザクにしたらそんな同情なんて一欠片も掛けてやる気は無いだろう。

その証拠に、スザクの目は強くて深い闇を持ち、ロロを威嚇するかの様に睨み付けている。

「もう良いだろ、スザク。続きをしよう」

ロロを逃してやろうと続きを誘ってみるが、スザクの怒りは静かに沸点を越えているのか、ロロを逃してやる気は全く無い様だ。

「ほら、近くに来なよ。最愛の『兄さん』なんだろ?性的な意味でも好きなぐらいに」

『弟』をやけに強調した棘のあるスザクの言葉に、ロロは俯いている。

「それとも、欲求不満で君から誘ったのかな?ねぇ、ルルーシュ?」

俺の方に振り向きながらスザクは俺にそう問う。

スザクの表情が、恐ろしい…

「さぁ、始めようか、ルルーシュ。君が俺のだってそこに居る間男に教えてやらないとね」

スザクのその言葉は、狂気の宴の始まりの合図になる。

狂乱の夜は、まだ始まったばかり…

=続く=





**あとがき**
狂気の枢木さんは楽しいですww
08.11.22